水中カメラでダイビングをもっと楽しく。
ダイビング中に「この景色を思い出に残したい!」と感じた時、一番に思い浮かぶ手段は水中カメラですね。
神秘的なダイビングの世界をカタチに残せる水中カメラはある意味ダイバーの必須アイテムです。
こんにちは、ダイビングインストラクターのかっきーです◎
ちなみにボクの相棒水中カメラはニコン Z6です。
今回は「ダイビングで水中カメラを使いたい!」というダイバーさんや「水中カメラは今まで使ってきたけどワンランク上のカメラで撮影したい!」というダイバーさん向けの『水中カメラって何を選べばいいの?カメラ本体以外にどんなパーツがいるの?』を解説していきます。いわゆる水中カメラの入門編です。
使うカメラのメーカーや機種によって必要なパーツ等は違いますが、大筋は同じなのでご心配なく◎
①カメラ選びは水中ハウジングから選ぶべし
ニコンがいいのかキャノンがいいのか・・・オリンパス?富士フィルム?ソニー?ありすぎて迷いますね。
水中カメラ選びでつまずくダイバーさんも多々いるはず。
数多あるカメラの中から一つを選ぶのは至難の業ですが、「これにする!」までにはいくつかのステップがあります。
まずは『ダイビングに対応した水中ハウジングが販売されているかどうか』という点が最も大切です。
水中ハウジングというのはカメラの弱点である水からカメラを守る防水ケースのことです。
カメラ本体に防水機能が付いているものでも水中ハウジングに入れるのが通例です。
(カメラ本体内部と外気温の差により結露が発生する可能性がありますので)
この水中ハウジングは「ニコンならこれ」「オリンパスならこれ」という風に作られているのではなく「ニコンのZ6はこれ」「オリンパスのTG6はこれ」という具合で各機種に対応した作りになっています。同じカメラメーカーでも機種によってボタンの位置等は違いますので専用のものを選びましょう。
どれだけ高額なカメラでも水中でカメラを扱う際には水中ハウジングが必要ですので、まずは「ダイビングに対応した水中ハウジングが販売されているかどうか」がカメラ選びの鍵となってきます。
水中ハウジングの中でも川遊びなどの水辺での撮影にのみ対応した「濡れても大丈夫」程度のものもありますので、ダイビングでカメラを使用する際には深い水深に対応したダイビング用を選びましょう。
せっかく買った高級カメラがダイビングで使えないなんて悲しい事故が起きないように気をつけましょう。
どのメーカーにする?
水中カメラの候補をある程度絞れたら次は「どのメーカーにするか」です。
どんなサイトやブログにも、「好みなので気に入ったもので大丈夫です」とよく書かれていますが、本当にその通りだとボクも思います。
ただ参考までにそれぞれのメーカーの違いについて少しだけ解説してみます。
今回比べてみるのは大手カメラメーカーでありハウジングのラインナップも豊富なニコンとキャノンです。
ダイビングで使用されている水中カメラ中ではこの2社の割合が多く、よく比較対象になるのもこの2社です。
まず「色合い」ですがニコンの方は、一般的に自然のままの色合いが特徴的であると言われています。
キャノンの方は色彩がはっきりして派手な印象を持つ方が多いようです。好みの問題でどうとでも取れますね(笑)
次に、これは重要視される水中カメラダイバーは多いでしょう。「AF(オートフォーカス)」についてです。
(シャッター半押しで緑の四角が出ます。これがピント合ってますよのサイン)
基本的に水中であろうとなかろうと、
ピントを合わせる作業をシャッターの半押しによる自動照準で行うことが多いでしょう。このAFについて、ニコンの方は精度が高いと言われています。
水中でファインダー(覗き窓)やモニターを見てシャッタ―を切る時に「そこそこ!そこにピント合わせてほしかってん!!」という感じです。
キャノンの方はAF速度が速いことが特徴的ですね。「ピント合いましたよー!」までが早いという感じです。
どっちが良いという問題ではなさそうですが、被写体によりますね。ダイビング中に動き回る魚を色鮮やかに撮影したいならキャノン、自然な色合いの綺麗な景色を撮影したいならニコンという風な判断になります。しかしながらやはり好みの問題になりますのでどっちでもいいと思います◎
また、一眼レフとミラーレス一眼については様々な違いがありますが実際にダイビングで水中カメラとして撮影している時に感じる差は
・充電の持ちは一眼レフの方がイイ
・撮影のしやすさはファインダーを覗き込まずにモニターで確認しながら撮れるミラーレス一眼の方が楽
くらいでした。実際には一眼レフよりもミラーレス一眼の方が目の前の情報をモニターに映し出すために実際の景色より一瞬出遅れるという記事をよく見かけますが、そこは一瞬すぎて感じ取ることすらできないのがリアルなところです。(笑)
そのせいでピントがバッチリのはずがブレブレなんてこともプロの水中カメラマンでもない限り分からないほどの差だと思います。
初心者向けはある?
ちなみに本当にダイビングで水中カメラは初めてですという方にオススメなのがオリンパスのコンパクトデジタルカメラTGシリーズです。
理由としては
・操作が簡単な上コンパクトなので持ち運びやすい
・他の水中カメラと比べて安価でお財布に優しい
・別売りパーツが多くカスタマイズしやすい
・ダイビング中にマクロ撮影(小さい被写体)とワイド撮影(広い範囲)を瞬時に切り替えられる
等が挙げられます。ボクも初めての水中カメラはオリンパス TG-4でした◎ていうか今も使ってます。
一眼レフやミラーレス一眼と比べて安価ではありますが性能が悪いわけでもありません。
むしろ機動力という点では勝っているとも言えるでしょう。多くの水中カメラダイバーに愛される逸品です。
②どんな写真を撮りたいかによって変わるレンズ
先程紹介したオリンパス TGシリーズは必ずしもレンズを必要とするわけではありません。コンパクトデジタルカメラならではの良さでもあるカメラ本体にレンズが内蔵されているという仕組みのおかげでハウジングに入れるだけで撮影可能です。
TGシリーズにレンズを取り付けるとすればワイドコンバージョンレンズを水中ハウジングの外側に取り付けることが可能です。
無くても問題ありませんがさらに広い範囲を撮影することが可能になります。(水中でレンズを付けたり外したりができるTGシリーズは汎用性抜群です)
しかしながら一眼レフやミラーレス一眼となると予めマクロ撮影かワイド撮影かを決めて、カメラ本体にレンズを取り付けた状態で水中ハウジングに入れることになります。
そのため各カメラ機種本体に対応した水中ハウジング+各レンズに対応したレンズ部の水中ハウジング(中間リング・ポートと呼ばれる部分)が必要となります。
もちろんダイビング中に「マクロのつもりやったけどワイドに替えよー」なんてTGシリーズのノリで外そうもんなら水没してぶっ壊れます(笑)
「今日はマクロ!!」や「今日はワイド!!」と決めてかかり、構図はどうしようか、被写体は何にしようか等とダイビングが始まる前から水中カメラは始まっているのです。
③撮影の要、ストロボについて
ダイビングの水中カメラの撮影について、かなり大きな役割を担うのが「光源」、つまりストロボライトです。なじみ深いワードを使うとフラッシュです。ダイビング中は陸上よりも光が遮られているのでこのストロボがない事には始まりません。
普通にストロボなしで撮影すると光源が少なく、かなり青っぽく写ってしまいます。これを回避するために水中カメラでの撮影ではストロボを炊いて(光らせて)足りない光源を足し水中で本来の色を出す必要がありますが、これは単に光が強ければいいという訳ではありません。
ストロボを炊きすぎると真っ白の写真に
水深や天気により自然の光源の強さは変わってきます。
例えば快晴で水深3m程度のダイビングならそれほどストロボを炊く必要はありませんが、曇天で水深20mのダイビングなら水中はかなり暗く、強めにストロボを炊く必要があるでしょう。
この「ちょうどいいストロボの炊き具合」というのは一朝一夕で身につくものではありません。数年単位で勘を養うものだと思った方がいいでしょう。
そんな何年も待てるかい~!というダイバーさんも多いはず。そんな意見はメーカーさんも承知の上です。
最新に近い水中カメラのストロボは自動調光(TTL)というトンデモ機能までついていたりします(笑)
便利な水中カメラ業界になりましたね~。ですがこのTTLも万能ではありません。仕組みは後日改めて当ブログにて紹介しようと思っていますが、やはり手動発光(マニュアル発光)に慣れていく方がイイと思うのが実際にダイビングで水中カメラを扱っているボクや水中カメラダイバーさん達の総意見だと思います。
光源を当てる角度も大切
一方向からのみの光源の場合逆方向に影ができたり(そういう撮影方法もあります)とやはり光ればいいという訳ではないのです。
大切なのはストロボを炊く角度を水中で自在に変えること。そのためにはいくつかの方法があります。
〇アームを使いストロボの照射角度を変える
〇ストロボを二つに増やして光源を増大させたり、挟み込むようにストロボを炊いて影をなくす
〇上の二つを組み合わせて広い範囲にストロボを炊く
等です。
オススメの水中ストロボ
やはりカメラやハウジングのメーカーに合ったものを使うことをオススメしますが、カメラ、ハウジング、ストロボの3つのメーカーを揃えようと思ったらオリンパスの一強です。逆にオリンパス以外のカメラですとメーカーから発売されている純正が存在しないことがほとんどなので、「シーアンドシー」や「ノーティカム」等が多いです。
その中でもシェア率が高いストロボを紹介すると「シーアンドシー」から発売されている「YS-D2」「YS-D3」です。
多くのカメラ、ハウジングに対応しており、発光スピードや強さも扱いやすく先程説明の中にあったTTLも搭載です。さらに光りっぱなしにできる機能も付いているので洞窟や沈没船の中でのダイビングでも重宝します。
高性能であればあるほどイイとは言い切れませんが、ダイビング器材同様コロコロ買い替えるものではないという所を考えるとある程度しっかりしたものを持つことが大切かなと思います◎
④水中カメラで必要なパーツについて
ここまでの説明の中で様々なパーツの名前が出てきましたね。カメラ本体、レンズ、ハウジング、中間リング、ポート、ストロボ・・・
たくさん出てきましたがこれでもまだ不十分です。目立つ大きなパーツはこれくらいですが、肝心なのが小物です。これを知らずにダイビングで水中カメラを扱うのは不可能です。
この必要なパーツの説明、意外とどのサイトにも載ってなかったり何の役割を担っているかの説明がなかったりとボク自身もダイビングでミラーレス一眼を水中カメラとして扱い始める時かなり苦労しました。ですのでここで一挙公開していきます◎
〇コンパクトデジタルカメラ編
本文中にも度々登場している名機オリンパスTGシリーズ。このカメラを水中カメラとして扱う時の必須アイテムは
・カメラ本体
・各シリーズに対応したハウジング(防水カバー)
・乾燥剤(ハウジング内の湿気を取り除くため)
です。必須アイテムはわずか3つ。これが初心者水中カメラダイバーにオススメの証拠です。
これがあればもっと楽しめるものとしては
・ブリップ (ハウジングにストロボ取り付ける為の台座、持ち手としての役割もある)
・アーム(ハウジングからストロボまでの距離を取り自由に角度を調節するための物)
・クランプ×2(アームとハウジング、アームとストロボの関節部)
・ストロボ(オリンパス UFL-3 ワイヤレス発光機能付きなので邪魔な配線は不要です)
・単三乾電池×4(ストロボにより必要な数は変わります)
※上記はストロボ一灯の場合です。
あくまでも一例ですので他のメーカーから発売されているものもあると思います。また、アームの長さやグリップの種類も様々なのであくまでも必要なパーツの名前一覧くらいに見て頂ければ幸いです。
TGシリーズの最新機種はTG-6ですので、もし今お持ちのTGシリーズが4や5の場合は注意が必要です。
水中カメラ入門編であるとはいえ、広角レンズ等を取り付けるとなると総額は20万円弱ほどにはなってきます。たっけぇ。
〇一眼レフ、ミラーレス一眼編
こっちは高性能がゆえに水没が許されないシビアな世界になってきます。取り扱いは細心の注意を払いましょう◎
今回は一例としてボクの愛用水中カメラであるニコン Z6をワイド撮影用に組んだ物の各パーツを紹介します。
・広角レンズ
・カメラ本体に対応したハウジング(防水カバー)
・広角レンズに対応した中間リング(ハウジングのみだと広角レンズが飛び出ていますので、防水部をレンズの長さ分伸ばすためのもの)
・広角レンズに対応したポート(ハウジング本体のレンズ部分、ポート自体にレンズの機能はないです)
・乾燥剤(ハウジング内の湿気を取り除くため)
・固定式ボールベース×2(ハウジングの両サイドからストロボを取り付ける為の土台となる関節)
・アーム×2(ハウジングからストロボまでの距離を取り自由に角度を調節するための物)
・クランプ×4(ハウジングとアームの関節で1つ、アームとストロボの関節で1つ、両サイドで合計4つ)
・ストロボ×2(シーアンドシー YS-D2)
・光コンバータ×1(カメラ本体のフラッシュ機能をハウジングの外にあるストロボへ電気信号的に繋ぐ機械、ハウジング内に取り付けます)
・光ファイバーケーブル×2(光コンバータとストロボを繋ぐ配線、水中で抜き差し可能ですがいざという時よく抜けている)
・フォーカスリング×1(カメラ本体のズームリングに装着、ハウジングの外側からカメラ本体のズームリングを回すためのもの)
・フロートアームハンドル×1(上記全ての重量が5,6kgを超えてきますので陸上は頑張って持つしかありませんが、ダイビング中に水中カメラを軽く扱うための浮き具であり持ち手。水中で手を放しても水中カメラが浮いていくわけではなくゆっくり落ちていきます)
・単三乾電池×8(ストロボにより必要な数は変わります)
・単四乾電池×2(光コンバータは電池式)
※上記はストロボ二灯の場合です。
TGシリーズと同様に様々なメーカーから水中カメラパーツが発売されていますので、あくまでも必要パーツの名前一覧です。
比べてみれば一目瞭然でかなり必要なパーツが多いです。さらに水中カメラデビューのやる気を削ぐつもりはないですが各パーツ等の価格がエグい。
ボクの場合で100万円前後でした。たっけぇ!!!(笑)
その上電池の消耗もハンパなく早いのでパナソニックのエネループがオススメです。
⑤最後に水中カメラに対して思うこと
最後になりますが、ダイビング中に水中カメラを扱うことは意外と難しく・・・というかめっちゃ難しいです。ただ単に適当にシャッターを切る程度なら誰にでもできるかもですが、陸での撮影以上にダイビングでの水中カメラは難易度は高いです。理由としては
・水中特有の色彩の変化(太陽の光が弱いので暗く、すべてが青く見える)が光源の強弱を難しくする
・水没というリスクを背負うことになる
・撮り直しができない場面も多い(魚などの動く被写体等)
・ダイビング中にアドバイスを求めることがしずらい(話せない)
等が挙げられます。ですが世の中の水中カメラダイバーさん達はみんなこれほどのデメリットをも超える「水中カメラの楽しみ」を感じているはずです。
ボクもそうです。「今日のダイビングはどんな写真撮れるかなー」とか、納得のいく気に入った写真が撮れれば知り合い全員に見せたくなるものです。
ダイバーにとっては日常になってしまうこともある水中世界をもう一度水中カメラから覗いてみましょう◎
きっとダイビングを始めたころの感動が蘇り、同時にダイビングと水中カメラの奥深さに気づくはず!
ボクは今日も心斎橋のど真ん中で水中カメラをいじくりながら、ダイビングデビューや水中カメラデビューをしたい方を待っております◎
長々と失礼いたしました!では!!